10万円給付オンライン申請になぜマイナンバーカード必要?理由は電子証明書

新型コロナウイルスの影響拡大によって、国民ひとりあたり一律10万円の給付「特別定額給付金」が行われることが決まっています。

4月20日に10万円給付の「特別定額給付金」について閣議決定され、総務省から申請方法などの概要が発表されました。

オンライン申請も可能ということですが、申請にマイナンバーカードが必要ということで、なぜマイナンバーカードじゃないとだめなのか理由がわからないという声も。

10万円給付のオンライン申請になぜマイナンバーカードが必要とされるのか、理由を調べてみました。

この記事のまとめ
  • 特別定額給付金ひとりあたり一律10万円給付の概要が発表
  • 申請方法は①郵送申請、②オンライン申請
  • ②オンライン申請には、マイナンバーカードが必要
  • マイナンバーは社会保障、税、災害対策の3分野のみ使用可
  • マイナンバーカードにはメリットがたくさん
  • マイナンバーだけでオンライン申請はセキュリティリスクが高い
  • マイナンバーカードのICチップに電子証明書が記録されている
  • 電子証明書は「署名用」「利用者証明用」の2種類あり、本人確認に使用
  • 10万円給付オンライン申請では、本人確認に電子証明書を使用することで住民基本台帳データとその場で照合、スムーズに申請可
  • マイナンバーを知らせるというより、電子証明書利用にマイナンバーカードが必要
  • マイナンバーカードと電子証明書の有効期限が違う理由は、法的根拠が違うため


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ひとりあたり10万円給付「特別定額給付金」の申請方法

まず10万円給付の申請・給付方法をまとめてみます。

給付対象:基準日(2020年4月27日)に住民基本台帳に記録されている人

受給権者(受け取れる人):世帯主

振込先:世帯主の本人名義の銀行口座

申請期限:郵送申請方式の申請受付日から3ヶ月以内

子供や外国人でも、10万円給付の対象です。世帯主が対象となる家族分をまとめて受け取ることになります。

一人暮らしの学生さんでも、扶養に入っていて世帯分離していない、住民票をうつしていないといった場合は、親御さんが受け取ることになるでしょう。

10万円給付を受け取るための申請方法は、2つあります。

① 郵送申請方式

市区町村から世帯主に郵送される申請書に、振込先口座を記入。
振込先口座の確認書類と本人確認書類のコピーとあわせて市区町村へ郵送

② オンライン申請方式(マイナンバーカードが必要)

マイナポータルから振込先口座を入力し、振込先口座の確認書類をアップロードして電子申請(電子署名により本人確認)

なお、やむを得ない場合に限って、窓口での申請や給付も認められています。

オンライン申請するためには、マイナンバーカードとPC用のICカードリーダーまたは近距離無線通信「NFC」に対応したスマホが必要となります。

マイナンバーは全員あるはずなのに、なぜマイナンバーカードが必要になるのでしょうか。


マイナンバーカードがオンライン申請に必要なのはなぜ?

結論からいうと、本人確認を厳格に行うためといえます。

郵送申請方式の場合に必要な書類は、①振込先口座の確認書類、②本人確認書類のコピーです。

①振込先口座の確認書類の例としては、通帳の表紙コピーが考えられます。②本人確認書類のコピーの例は、運転免許証やパスポートのコピーですね。

これらがない場合は、健康保険証と年金手帳など2種類必要なケースが多いです。

オンライン申請方式の場合も、①振込先口座の確認書類のアップロードが必要ですが、②本人確認書類のコピーは不要となっています。

①については、同じように通帳などを写真にとってアップロードすることになるでしょうが、なぜ②がいらないかというと、

マイナンバーカードのICチップに記録された電子証明書(電子署名)で、本人確認をするからです。

マイナンバーやマイナンバーカードとは?メリットは?

そもそもマイナンバーとは、ひとりひとりが持つ12ケタの「個人番号(マイナンバー)」。

総務省によれば、社会保障、税、災害対策の3分野で、複数の機関に存在する個人の情報が同一人の情報であることを確認するために活用するものです。

この3分野以外では、マイナンバーを国でも使用できないため、手続きの際に「マイナンバーが記載されていない住民票が必要」というケースもあります。

マイナンバーがあれば、行政機関に対する申請手続きに必要な添付書類が減って便利になり、2018年10月時点で便利になった行政手続きは1221あるそう。

行政側も、たくさんの提出書類の審査に時間がかかっていたものが短縮され、事務処理がスムーズに、手続き時間も早くなるという効果があります。

行政側の負担が減ることから、必要な人に必要な支援を行う余裕が出てくるといえます。

個人情報が一元管理されるのでは?と思われますが、実際にはマイナンバー法で一元管理は禁止されているのだそう。

年金関係は年金事務所、地方税は市区町村といった形で分散して管理していて、芋づる式には漏れないようになっているとのことです。

マイナンバーカードとは

マイナンバーカードとは、申請すれば無料で交付されるプラスチック製のカードです。

裏面にマイナンバー、表面は顔写真、氏名、住所、生年月日、性別などが記載されたピンク色っぽい色のカードです。

2019年11月から、旧姓の併記もできるようになりました。

有効期限は発行当時20歳以上なら10回目の誕生日まで、20歳未満なら5回目の誕生日までとなっており、更新手続が必要になります。

総務省サイトより



表面は運転免許証のように、身分証明書として使用できます。裏面にはマイナンバーとICチップがあります。

マイナンバーカードのメリットとは?

運転免許証があれば身分証明書にも困りませんし、普段、マイナンバーカードが必要になるシーンはあまりありませんよね。

マイナンバーがわかればいいだけなら、緑色のマイナンバー「通知カード」で十分です。

マイナンバーカードが、単にマイナンバーが書いてあるだけのカードではないのは、ICチップがあるからといえるでしょう。

マイナンバーカードがあると便利なシーンは、身分証明書以外にもあります。

  • コンビニのマルチコピー機で住民票などの書類を取得できる
  • オンラインで確定申告ができる(e-tax)
  • 「マイナポータル」が利用できる
  • 子育て関係など行政手続きができる
  • マイナポイントで買い物ができる(2020年9月から)
  • 健康保険証にもなる(2021年3月予定)



急に住民票などの書類が必要となっても、役所に行く時間がないことってありますよね。

マイナンバーカードがあれば、コンビニのマルチコピー機でパスワードを入れるだけで取れるので、かなり便利です。

しかも役所での手数料より100円値引きされてる市区町村も意外と多いので、時間もお金も節約につながります。

「マイナポータル」とは政府によるオンラインサービスを取りまとめたサイトで、行政側が自分のどんな情報を持っているかも確認することができます。

子育て関係の手続きは「マイナポータル」から書類も入力できるものも多く、対応している市区町村であれば便利に使えます。


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10万円給付オンライン申請にマイナンバーカードがいる理由

マイナンバーだけで申請できたら?セキュリティリスク高い!

様々な手続きが便利にできるマイナンバーカードですが、便利に利用できる理由はなぜなのでしょうか。マイナンバーだけあれば手続きできそうですよね。

もしマイナンバーだけで、今回の10万円給付がオンライン申請できたとします。

必要なものはマイナンバーと振込先口座の情報だけだとすると、例えば職場の人事や総務の人が悪用しようとすればできますよね。

勤務先には社会保障や年末調整など税金関係の手続きのため、マイナンバーを知らせているはず。給与振込口座の情報も、当然わかります。

本人確認書類のコピーも、年金手帳や健康保険証コピーならなんとか用意できる職場もありそうです。

マイナンバーだけでオンライン申請するのは、なりすましやセキュリティがとても不安で難しいのが想像できますね。

10万円給付のような行政手続きは、ひとりひとりの権利義務関係等に大きな影響を与えるものなので、厳格な本人確認が求められているのです。

なぜ本人確認のためにマイナンバーカードが使える?

オンラインで本人確認をするために必要なのが、マイナンバーカードにあるICチップに入っている「電子証明書」(電子署名)です。

ネット通販でログインするときにID、パスワードが求められたり、アカウント登録の際にSMSで届いた番号を入力して認証したり、といった手順は、もはや当たり前になっています。

こういう手順も本人確認、つまりセキュリティのひとつですよね。

銀行口座の開設や携帯電話の申込みなどは、「犯罪収益移転防止法」「携帯電話不正利用防止法」などの法律に基づいた厳密な本人確認が求められています。

ネット銀行の口座開設などは、スマホで身分証明書の写真撮影をしてアップロード、さらに書類を郵送して確認するケースが多いですね。

今のところはデータ送信、書類郵送という2段階の手続きをふんでいます。手軽になったとはいえ、多少の面倒は残っています。

ハンコを押した書類などを郵送することで、内容や本人確認を厳しくしているのでしょう。

マイナンバーカードには電子証明書があり、そこには「署名用電子証明書」「利用者証明用電子証明書」の2種類があります。

それぞれの特徴は以下の通りです。

署名用電子証明書利用者証明用電子証明書
用途インターネット等で電子文書を
作成し、送信する際に利用
ログインした人物が本人である
ことを証明
利用
シーン
確定申告をe-taxで送信
法人の印鑑証明書を申請
マイナポータルへのログイン
コンビニでの住民票等の交付
記載
内容
氏名、住所、生年月日、
性別を記載
氏名、住所、生年月日、
性別は記載されない
有効期限5回目の誕生日まで5回目のの誕生日まで
注意点住所、氏名、性別が変更に
なると自動的に失効
引っ越しや結婚でも失効
しない
暗証番号英数字混在
6文字以上16文字以下
数字4ケタ



この電子証明書を利用するためには、暗証番号が必要です。署名用電子証明書の暗証番号は、いわゆるパスワードといえます。

「署名用電子証明書」のイメージは、書類に必要事項を記入してハンコを押して提出するかんじで、「実印」相当です。

「特別定額給付金」10万円給付の申請では、この「署名用電子証明書」を利用して本人確認を行います。

署名用電子証明書は、住所、氏名、性別が変更になると自動的に使えなくなります。

なぜかというと、電子証明書に入っている住所、氏名、生年月日、性別の情報を随時、住民基本台帳のデータと確認・照合するためです。

今回の10万円給付で、オンライン申請方式では本人確認書類自体は不要ですよね。

それは署名用電子証明書を使った「電子署名」で、自分がどこの誰なのかという情報を、その場で住民基本台帳データと照合し、本人確認を済ませてしまうからなのです。

書類を郵送して、それを役所の人が1枚1枚確認して手続きすることを考えると、かなりスムーズに進むことがわかります。

ICチップには、電子証明書以外にも知られたくない個人情報が詰め込まれているのでは?と思ってしまいますが、総務省によれば実際には以下の通り意外と少ないそう

① 氏名、住所、生年月日、顔写真、マイナンバー
(=カードに記載されている情報)

② 電子証明書(署名用、利用者証明用)

情報を利用するためには暗証番号が必要
不正に読み出そうとするとICチップが壊れる仕組みになっている
電子証明書にはマイナンバーを使用しない



電子証明書が入ったICチップ搭載カードなんて、普通はマイナンバーカード以外に持っていませんよね。

マイナンバーを知らせるためというより、電子証明書を利用するためにマイナンバーカードを使うといえます。

マイナンバーカード自体と電子証明書の有効期限が違う理由

マイナンバーカードの有効期限と、電子証明書の有効期限、実は違いますよね。

マイナンバーカードの有効期限は、①マイナンバーカード自体の有効期限(カードに記載)②電子証明書の有効期限の2つがあります。

①マイナンバーカード自体の有効期限は、発行当時20歳以上なら10回目の誕生日まで、20歳未満なら5回目の誕生日までとなっています。

一方、②電子証明書は発行時の年齢に関わらず5回目の誕生日までとなっています。

なかでも「署名用電子証明書」は実印に相当する機能があり、マイナンバーカード発行時に15歳未満の場合は搭載不可になっています。

なぜ有効期限が違うのかというと、法的根拠が違うからです。

①マイナンバーカードの有効期限は、マイナンバー法に関連する省令のひとつ、「行政手続における特定の個人を識別するための番号の利用等に関する法律の規定による通知カード及び個人番号カード並びに情報提供ネットワークシステムによる特定個人情報の提供等に関する省令」の第26条で定められています。

一方、②電子証明書の有効期限は、電子署名及び認証業務に関する法律施行規則第6条第4項にて定められています。

電子証明書の有効期限が切れても、マイナンバーカード自体は身分証明書として提示したり、マイナンバーの確認に使えます。

ややこしいですが、電子証明書は実印に相当すると考えるとあまり長すぎるよりはいいのかもしれません。

マイナンバーカードがあればハンコレス社会に?!

特別定額給付金のひとりあたり一律10万円給付について、申請方法などが明らかになりました。

オンライン申請と郵送申請の2種類があるものの、オンライン申請ではなぜマイナンバーカードが必要なのか、ということについてまとめました。

マイナンバーカードは現在も、住民票や印鑑証明書などのコンビニでの取得や身分証明書としての利用、e-taxでの確定申告など便利なメリットがあります。

今後はポイント制度や、健康保険証としての利用も考えられており、持っていると結構便利に使えそうです。

10万円給付のオンライン申請は、マイナンバーだけで申請するとするとなりすましやセキュリティリスクが高いのが実際です。

こうしたリスクを、マイナンバーカードのICチップに記録した電子証明書(電子署名)で本人確認をすることで回避しているのですね。

新型コロナウイルスの影響で在宅ワークになったのに、ハンコを押すために出社するのはちょっと・・・と言われています。

マイナンバーカードの電子証明書(電子署名)は、ハンコの代わりにも使えるため、今後利用シーンが増えそうです。

100円ショップで買ったハンコを適当に押すより、よほど本人確認もきっちりできますし、ペーパーレスにつながると考えられます。

マイナンバーカードを作るには1~2ヶ月かかることが多く、10万円給付には間に合わないにしろ、作っておくのもよさそうですね。


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